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心筋シンチ(薬剤負荷)について

心筋シンチ(薬剤負荷)について

図1. 冠動脈左前下行枝の高度狭窄がある症例。
薬剤負荷して心臓に負担をかけると、冠動脈左前下行枝の支配領域である前壁領域への血流が低下している(矢印:上段)。
安静にすると、薬剤負荷で認めていた血流低下の改善を認める(矢印:下段)。
冠動脈(左前下行枝)に高度狭窄があり、心筋虚血(心筋の酸欠状態)があることがわかる


心筋シンチグラフィとは

心臓は血液を全身に送り出すポンプの働きをしています。冠動脈はその心臓の細胞に栄養を送っています。冠動脈の血管形態を見るのには、冠動脈CTや冠動脈造影検査で評価します。冠動脈の血管が高度に狭窄したり、閉塞したりすると心筋細胞へ栄養と酸素が十分に届かなくなります。そして心筋細胞の血流、代謝、交感神経機能などが悪くなり、最悪の場合は心筋壊死に至ります。その結果として心臓の動きが悪くなったり、致死性不整脈が出たりします。
冠動脈血管の形(形態)ではなく、心筋細胞の状態(機能)を調べるときに使われるのが、心筋シンチグラフィ検査です。心筋シンチグラフィ検査はさまざまな心臓機能評価ができる検査で、血流、代謝や交感神経機能など、いくつかの方法があります。

薬剤負荷心筋シンチグラフィ:アデノシン薬剤負荷心筋シンチ(99mTc)

冠動脈血管が動脈硬化の進行により血管内腔が高度に狭くなってくる(75%以上の狭窄度)と症状が出現するようになります。
最初は、日常生活に困りません。それは普段の生活をおくる上では、心臓への血流は十分足りていることを意味します。しかし、労作時(階段使用時、運動時)では胸痛や息切れなどの症状が出てくるようになります。これは、坂道を登ったり、長時間歩いたりして心臓に負担をかけると心筋細胞は酸素をより必要としそのため血流がより必要となります。このとき十分な血流がないと心筋細胞が酸素不足状態になり、息苦さや胸痛がおこります(これを心筋虚血といいます)。
この検査では、心臓に負担をかけた状態と同じ状況にするために、運動や薬剤を使用して、わざと心筋負荷状態(運動負荷、薬剤負荷)にさせ、血流を反映するお薬を注射し、どのくらい心筋細胞に血流が保たれているかをガンマカメラで撮像します。心臓負荷は血圧や脈拍などを医師がきちんと把握しながらの検査になります(心筋負荷時の検査)。次に、安静な状態で同じお薬を注射し、心筋細胞にどのくらい血流が保たれているかを撮像します(安静時の検査)。この2つの画像(心筋負荷時と安静時)を比較することで、心臓が負荷の状態と安静な状態の心筋細胞の血流の状態にどれくらい差があるのかをみます。(図1,2参照)

所要時間

撮像30分間×2回、全体で約3時間

利点

この検査によって、適切で正確な虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)の治療指針が可能になります。
ご高齢な方や膝の痛みのある方など、運動負荷困難な症例に実施できます。
臨床的診断精度は運動負荷と同等であり有用性が高い検査です。
心電図で、左脚ブロックがあり評価困難な方やペースメーカー植え込みされている方でも評価がしっかり可能です。
保険適応内の検査です。

※注意: 気管支喘息をお持ちの方は医師と必ずご相談して下さい。

当院では、薬剤負荷心筋シンチグラフィ検査に関しまして、阪和インテリジェンス医療センター(HIMC)にご協力を頂いております。
の詳細は阪和インテリジェンス医療センターのホームページをご参照下さい。
ここをクリックして下さい。

心筋シンチ(薬剤負荷)について
薬剤負荷時

心筋シンチ(薬剤負荷)について
安静時


図2. 薬剤負荷心筋シンチグラフィの様子(心臓横断面)
薬剤負荷(上段)をすると、典型的な狭心症状(胸痛)と共に左心室前壁の心筋虚血(黄色の矢印)を認める。安静(下段)に戻すと、胸痛消失と共に心筋虚血領域は改善している。


更新日:2013年04月12日
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